工事現場で忙しく動き回る三体の大きな人型の影。
緑色の塗装はところどころ剥げており、その下から赤黒く錆びついた地金が
のぞいている。くたびれた、ずんぐりした姿には、まるで古ぼけたぬいぐるみ
のような愛嬌と哀愁があった。
 パワー・シルエット、通称PS。ここ数年ほどでじわじわと普及しつつある、
二足歩行の人型重機だ。
 アークスの型兵器で知られるAISの技術を応用しているが、全高は6メートル弱と
一回り小さいサイズとなっている。
 また、動力はフォトンエンジン、駆動系も総油圧式と、性能はAISに遠く及ばない。
「あっちい.....」
〈アトラス〉の操縦席でアレンはげんなりとうめく。
 アレンが使っているPSは、〈アトラス〉という機種。オラクル内シェアの7割以上
を占めておりPSの代名詞となっている。
「くそ、エアコンが壊れてるんならちゃんと修理しろよ」
『どうした、操縦技術は一人前にできて、忍耐力のほうは半人前以下かバカ生徒』
「そっちこそ、約束通りちゃんと単位くれよ」
 無線機越しに、心温まる罵声をかわすアレンと担任教師。
美しき教師と生徒の絆を、周囲の作業員たちは呆れ顔で見守っていた。
 第158番艦〈ナガレ〉は他のアークスシップより工業が発展した場所である。
オラクル内でのAISのパーツの約3割がここで生産されている(しかし今日までAISが
配備されてはいなかった)
 その工業発展地域周辺にはアレンが通う工業系の学校も多く、
度々実地試験や訓練と評した工業の手伝いをしたりもする。
(ちなみにアレンの通う学校は入学の際、アレンのような希望者のみに二足歩行重機の
免許を特別にとらせることも出来る)
『よーし、そろそろ飯にするぞ!』
 担任教師のベアの声が無線機越しに聞こえた。
時計を見るとすでに昼頃になっている。
「やっとかよ....」
うめくアレンはそのときになって、始めて自分が空腹であるということを知った。
「あ、やべ....」
 そして自分の昼食の弁当を教会に忘れてきたことも。
ため息をつきながら停止させた機体から降り、
ベア教師やここの作業員たちが集まっているところへ向かう。
 ベアがアレンのげんなりした顔をみてにんまりと憎たらしく笑った。
「どうしたアレン、弁当でも忘れたって顔だぞ?」
 この憎たらしく顔面に必殺のストレートをぶちかましたくなる
激しい衝動をアレンはどうにか抑え込んだ。
「そうだよ、当たりだよ。くっそう...」
「まあまあ、落ち込むなバカ生徒お前の弁当はな―」
「お兄ちゃんのスカポンタン!」
「!?」
 ベアが言い切る前に聞き覚えのあるかん高い声が
アレンの耳に届く。見るとベアの背後からここにいないはずの
セルフィが弁当の包みを手にひょこっと現れた。
「セルフィ!お前学校にいるんじゃないのか!?」
 アレンは思わぬ妹の登場に驚きを隠せないでいた。
セルフィは右手に持った包みをアレンに突きつける。
「お兄ちゃんがお弁当を忘れたからベア先生に
無理して連れて来てもらったんだから感謝してよね」
 そう言ってセルフィは無い胸を精一杯張って見せた。
「愚兄賢妹(ぐけいけんまい)ってやつだな。いやぁお前にはもったいない
くらい、いい妹さんだぞ、俺の奥さんにしたいぐらいだ」
「やだぁ、先生教育委員会に訴えますよ?」
「じょ、冗談だよ冗談」
 冗談半分で言ったつもりだったのだろうが、
セルフィの笑顔だが声にひめられた気迫に圧され
さすがのベアも冷や汗をかいていた。
 そんな様子を無視してアレンはセルフィが持ってきて
くれた弁当を食べるのだった。

 〈ナガレ〉に備えられているPS試運転用の演習場で一機の第一世代型AIS
〈アイス〉が静かにたたずんでいた。
『こちらバルチャー3、演習開始地点に到着した。
次の指示まで待機する』
 演習場に設けられたベースキャンプの中。通信機からバルチャー3 ―
ミーアの声が響く。
「バルチャー1了解。緊張するなよシンデレラ」
『問題ない、任務は完璧にこなしてみせる』
「俺たちはともかくクライアントの期待を裏切るなよ」
 ベルベットはかたわらのナルガをふり向く。
「予定時刻より少し早いですがどうしますかな?」
「特に問題なければ始めましょう」
 この演習は、最新技術で投影された『実体のある』ダーカーの
模倣体を対象に、様々なシチュエーションの模擬戦、
という形式に行われている。
 今日の想定状況は負傷した味方部隊を護衛しつつ目標ポイントに
向かう撤退戦だった。
 すでに大型虫型ダーカー〈ダーク・ラグネ〉1体と
小型虫型ダーカー〈ダガン〉12体が投影されていた。
『バルチャー1、1つ質問がある』
「手短になバルチャー3」
 次に返ってきたミーアの声は実にふてぶてしいものだった。
『あれを全て倒してしまったもかまわないのだろ?』
「あくまで今回は撤退戦だ―フッだがいいだろう
今回の演習はAISの性能を見せるものでもある。
やってみせろ」
『期待は裏切らせない』
 それを最後にミーアからの通信は切られた。
「はあ、あの娘の悪い癖はいつまでたってもなおらないわね」
 ベルベットの後ろにいたナムが呆れた声をあげる。
「やる気があることはいいことだ」
 そう言うベルベットをナムは鋭く睨み付ける。
「あなたもよバルチャー1」
「よし時間だ。状況を開始せよ」
 あからさまに逃げたというのはまわりからみて
あきらかだったが、それでもベルベットは厳格な表情を保ったままだった。

 第一世代型AIS〈アイス〉はその扱いやすさと信頼性において
非常に優秀な機体であり第二世代型が開発された今でも主力として
運用されている。ミーアが乗っている〈アイス〉は正確には
〈アイスII〉と呼ばれているもので基本性能はそのままに
動力源が最新型に付け替えられ(これは第二世代型と同じもの)
連続稼働時間が12時間と元の2分が限界だったものと比べれば
大幅に強化されている。これにより〈アイスII〉は第一・五世代型
と呼ばれる事もある。

 演習の結果としてはミーアが操る〈アイスII〉が開始数分で決着がついた。
〈ダガン〉12匹を40mmソリッドバルカン(模擬戦用)でまとめて制圧。
続けて〈ダークラグネ〉を味方部隊に接近させる前に
その高い機動力を存分に生かし模擬用フォトンセイバーで4本ある脚
のうち右前脚と左後ろ脚を切断、バランスが崩れたところをすかさず
〈ダークラグネ〉の後方に回り込み、頭部の真後ろにある弱点のコアに
フォトンセイバーを突き立て鎮圧。相手に反撃の瞬間すら渡さなかった。
〈アイスII〉の性能とそれを余すことなく引き出したミーアの操縦技術が
あればこその結果だった。しかし予想外の事態がこの時起きるとは誰も
知らなかった。





 どうもみなさん、おはこんばんにちはヴィスです。
このシリーズ前回の投稿からなんと半年ぶりとなってました。(汗)
仕事が忙しくてなかなか時間がとれ無いんですよねぇ...
 最近はvitaが一時期故障しちゃって(今はどうにか直ってる)
PSO2はおろかゲーム自体が出来ませんでしたね。
EP4を出遅れちゃったせいで最近はほとんどPSO2はやってません。
一度落ちちゃったモチベを取り戻すのは難しいと感じますね。
っと話が逸れました、少し今回の話の解説をしときましょう。
 このシリーズは当初から言っていたとおり私が『もしAISがアークスの主力になったら』
を考えて思い描いています。なので今回でてきたAISの技術を応用して作られた
PS(パワーシルエット)や第○世代型機
模擬テスト用の仮想標的投影機(エクストリームクエストの応用)
などそういう世界になったらあってもおかしくはないだろうというものを勝手につくってます。
まあ、その折に矛盾なども生まれて来るでしょうがそこはみなかったことにしてください。
 では今回はこの辺で、ほんじゃまったなー
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― アークスシップ アークス駐屯地 ー
 アレンたちがいるアークスシップのとある駐屯地。
そこへ二機のLDFのロゴが入った輸送機が滑走路へのアプローチに入った。
高機動車の助手席に座るナルガ=ダーラは、
輸送機の巨影を見上げながら横目で時計を確認する。
「ほぼ予定通りだな」
「傭兵さんたち、少なくとも時間には正確のようですね」
運転席のナルガの部下がポツリとつぶやく。
「傭兵ではない。彼らはあくまでも、PMCの社員で
アークスの一員だ。言葉に気を付けろ」
たしなめるナルガの声も、似たり寄ったりの調子だった。
それを聞き取ったのか、部下は言葉を続ける。
「そうは言いますがね。どうせちょっと看板を掛け替えただけで、
大して変わらん連中でしょう?」
 PMC―民間軍事会社(プライベート ミリタリー カンパニー)
とは読んで字のごとく、軍事的な業務を顧客に提供する、
様々な民間企業の総称だ。
 PMCの活動は、直接的な戦力の提供に留まらない。
正規軍に対する、教育および助言といったコンサルティング。
補給物資の輸送や施設設営のような後方支援活動。
そういった、様々な分野に食い込んでいる。
 その中でもLDFはアークス最新鋭の機動兵器『A·I·S』を用いた
訓練·演習を専門とする異色のPMCである。
 「しかし、このアークスシップ第158番艦ナガレにも
とうとうA·I·Sが配置されるんですね」
若干興奮気味に部下は言う。
おそらく過去にA·I·Sが動いたところを見たことがあるのだろう。
 A·I·S―アークス インターセプション シルエット
40年前のダークファルス『巨躯(エルダー)』との戦争でアークスは
当時の全体の人員3分の1のを失った。
失った人員のほとんどがフォトンを扱える者たちだったために
フォトンでしか倒すことができない大量のダーカーとの戦いでは
不利な状況になることが多かった。
それを打開するための策として作られたのがA·I·Sである。
当初はパワードスーツとして開発される予定であったが
稼働限界時間が極端に短い(約10秒)、フォトンリアクターの大型化
想定した出力よりかなり下だったなど様々な問題点を
考慮した結果10m級の中型機動兵器が完成した。
最大の特徴は圧倒的な機動力と攻撃力であるが
第一世代型のA·I·Sは依然として最大限界稼働時間が約2分と短い。
(ただし先行生産型モデルの12機のみ5分)
A·I·Sという革命的な兵器の登場により
これまでのアークスの採用基準も大きく変わっていっている。
現在は第三世代型まで開発されている。
 「こんな時代だ当然の配慮だな」
素っ気なく言うナルガだが、彼もまた第一採掘基地防衛戦での
ことを思い出していた。
高機動車の先にはようやく着陸した輸送機の姿があった。
 
 ナルガと運転していた部下が高機動車から降りた時、
ちょうど輸送機側面の乗降ハッチが開いたところだった。
内蔵されていた折り畳み式のハシゴを伝って、二人の男女が
機敏な動作で降りてくる。
 2メートル近い巨漢にビーストと、端整な顔立ちをした小柄なヒューマン。
ナルガたちに気づいた二人は、素早く背筋を伸ばし挨拶する。
「L·D·F(リリーパ ディフェンス フォース)。A·I·S教導課第一班班長、
ベルベット=バラサムです」
「同社戦術分析課の、ナム=ナムア=ナムジェリカです」
 まるで分度器で測ったかのような、30度の礼だった。
黒い制服にはシワひとつなく。
少なくともその外見は『無頼の傭兵どもの集団』には
とうてい見えない。
「第158番艦ナガレ警備隊総隊長のナルガ=ダーラです。
みなさんを歓迎します」
 一瞬だけ気圧されたナルガだが、素早く答礼を返した。
ベルベットと名乗ったビーストの男性はニヤリと笑うと右手を差し出す。
「よろしくお願いいたします、ナルガ総隊長。双方にとってよい関係と
なることを期待しています」
 見事なスキンヘッドと、石像のように厳つい強面の顔立ち。
だが大きな黒いドングリ眼(まなこ)がその印象を和らげていた。
「こちらこそ。同じビーストとして光栄です」
 苦笑したナルガは、差し出されたグローブのような大きな手を、
しっかりと握り返す。
「さっそくだけど、持参した機材の搬入を行いたいんだけど」
とナムは横合いから言葉を挟んだ。
 まるで人形のような小柄の女性。一見、傭兵どころか兵士にさえ見えない。
だが、幾つもの修羅場をくぐったような鋭い目つきが静かに凄味を放っていた。
「この駐屯地の第三格納庫を空けています。好きに使って構いませんよ」
「承知しました」
 ベルベットは通信機を手に取り、何事かを命じる。
するとすぐに、一機目の輸送機の後部ハッチが、軋みながら開いた。
油圧ウインチが作動し、荷台が滑走路に下ろされる。
 重い地響きが夜気を震わした。
荷台の積み荷が固定を解かれ、自信の脚で滑走路に降り立ち、その背筋を伸ばす。
「また会ったな―」
 それはナルガが昔助けられた巨人ではなかったが
なぜかその言葉が自然と口から出た。
星空の下に姿を現したのは、10メートル近い巨大な人形―
第二世代型のA·I·Sだった。
「いかがですかな、これが今回用意させて頂いた機体の1機―」
 ナルガの反応を見たベルベットが、満足そうにうなずいた。
そのまま芝居がかった、大仰な身振りで両腕を開く。
「Zk-00G〈オリジン〉です。今回はこれが2機に
第一世代型を6機を用意しました。まぁ、見てください」
「あ、ああ」
 ベルベットにうながされ、ナルガとナルガの部下は
もう1機の輸送機の後方に回り込む。
開かれたハッチから、広々としたカーゴが見て取れた。
ベルベットの言葉通り、カーゴには〈オリジン〉が1機に
第一世代型機6機の姿があった。
全て両手両膝をついた駐機姿勢をとっており、厳重に荷台に固定されている。
「うん?」
 〈オリジン〉の周囲では、幾人もの作業員が忙しく立ち働いている。
その一人に、ナルガの目が留まった。
 遠目にも、金色のツインテールが踊っているのが見える。
どうやら女性のようだ。それも、相当に若い。
いや、若いというよりもむしろ―
「まだ、子供じゃないか」
 部下が、唖然とした声で小さくつぶやく。
そのPMC社員は、どう目を凝らしても、
まだ十代の少女にしか見えなかったのだ。
「降ろすぞミーア」
「了解した」
 作業員の声に少女はうなずくと、
素早く〈オリジン〉のコックピットに乗り込む。
「ベ、ベルベット班長、もしかして、彼女も?」
「ああ、やはり気になりますか」
 ベルベット困ったように苦笑した。
「ミーア=セレクテア=サンドロヴィナ、第三班の一員です。
確かにまだ若いですが、優秀なA·I·Sパイロットですよ」
「は、はあ。ずいぶんとお若いようですな」
 取りつくろうようなベルベットの言葉に、ナルガは曖昧に答える。
「本当に大丈夫か、この会社?」
 後ろの部下がポツリと小さな声でつぶやいた。



 どうも、みなさんおはこんばにちは。
ヴィスデース。
何かこのシリーズ、回を重ねるごとに話の内容が
長くなってる気がします....
 読みにくいとかあればコメントでお願いします。
出来るだけ短くまとめるように努力します。
えーとまだ短いか...
今回の話に登場したA·I·S第一世代型とか言いましたが
あれは実際にゲームでてる方のA·I·Sを総称で指しています。
オリジナルA·I·Sシリーズは第二世代型からですね。
余裕があれば設定こみでイラスト付きで紹介したいですね。
それと今さらですが、このシリーズは原作設定をほぼ無視して
作りあげてます。原作を知らない方が面白く見えるのかなと思ったり。
 ゲームの方は最近全然手についていません。
モチベーションが下がり気味ですので...
あ、でも土曜日のマガツラッシュは行きたいな~
近況報告も全然できてないしな~
では今回はこの辺で
ほんじゃ、またな!

― アークスシップ 居住区 ウルフェン教会 中庭―
 「はっ!せいっ!でやああああっ!」
「ふぉっふぉっふぉっ、まだまだ技の切れが甘いぞアレンよ」
人工太陽がまだ上がっていない早朝にルガール教会の中庭に
気合いの入った俺の声と組み手の相手をしてくれている
この教会の主であるビーストの老人ルガール神父の笑い声が響き渡った。
「ほれほれほれ、もう終わりか?」
俺のパンチや蹴りを全て毎朝同じようにルーガル神父は片手のみで
捌ききり憎たらしいほど爽やかな笑顔を俺にみせてくれる。
「ぜぇぜぇ、今日...の俺は...ひと味違うぜ!」
そう言いながら俺はルガール神父に向かっていった。

― ウルフェン教会 食堂 ―
 「うぅ~、なんであんなに強いんだよルガール神父は...」
『アレン=クァルタ』はぐったりしながらテーブルに突っ伏した。
それなりに整っている顔に疲労の表情を浮かべテーブルから顔を上げる。
「またお兄ちゃんルガール神父に挑戦してたの?」
厨房から出てきたニューマンの少女が呆れたような表情で言った。
「セルフィいたのか」
「ちょっと!いたのかってなによ!」
『セルフィ=サンチャイルド』。13歳の少女本人はアレンのことを
お兄ちゃんと呼んでいるがもちろん義理の妹である。
8年前に住んでいた居住区をダーカーに襲われて
両親を失い、彼女も殺されそうになったところを
当時アークスだったルガール神父に助けられ、
そのままこの教会に引き取られている。
彼女だけでなくアレンを含め大勢の孤児になった
子供たちも引き取られており皆ルガール神父には感謝している。
「これこれ、朝から喧嘩はするんじゃないぞ」
「はーい。お兄ちゃんも朝食の準備の手伝いしてよ」
「はいはい」
「はいは1回!」
4つも歳が離れているのに他人から見れば
セルフィが姉でアレンが弟に見えるだろう。
アレンはよっこいしょと重い腰を上げて厨房に
料理を取りに向かう。
厨房ではルガール神父が凄まじい速さで5つのフライパンを
同時に操り30人数分のオムレツを作っていた。
「ほんと、何者なんだよルガール神父」
いつみても驚く光景である。
「お兄ちゃん!見とれてないで早く運んでよ!みんな起きちゃうでしょ!」
セルフィの雷が落ちる。
アレンは急いで出来上がっているオムレツの乗った皿を
4つ持つと食堂のテーブルまで運ぶ。
セルフィはフォークやスプーンなどを並べていき。
食事の準備が完了する。
「よし、あとはみんなを起こすだけね」
セルフィはそういうとどこから取り出したのか
古くなった中華鍋とお玉を持ち、寝室へと向かう
「あ、やべ....」
このあと何が起きるかいちはやく察したアレンは
耳をそっと塞ぐ。
少したった次の瞬間、耳を塞いでいても聞こえる
けたたましい金属と金属がぶつかり合う音が
教会中に響き渡った。
「ふぉっふぉっふぉ、朝から賑やかでいいじゃないか」
「賑やかですねぇ」
騒音のなかでただ二人ルガール神父と
ニューマンのシスター、マルグリダは笑っていた。
この二人『ルガール=ウルフェン』と『マルグリダ=ウルフェン』は
現役時代はコンビを組んでいて40年前のダーカーとの大戦のときも
活躍した凄腕アークスでもある。退役後結婚して今に至るという。
ちなみに二人とも70歳を越えているのだが
ルガール神父は現役時代の肉体年齢をキープしており、
シスター・マルグリダもどいうわけか20代の美貌を保ったままである。
 しばらくして寝室から子どもたちが不満を言いながらぞろぞろとやって来た。
「ふわぁぁ、まだ眠たいよぉ…」
「お耳がぐわんぐわんする~」
「セルフィお姉ちゃんお鍋とお玉叩くのやめてよぉ...」
やれやれと見ていたアレンはふと時計を見た。
「やべっ!早く食わねぇと学校に遅れちまう!」
アレンは急いでオムレツを口の中に詰め込み
コップにつがれた牛乳を一息で飲み干す。
「ひっへひふぁーふ!(いってきまーす!)」
そして鞄を引っ掴むと教会から走り出ていく。
「あ、お兄ちゃんお弁当...もう!」
セルフィも慌ててアランの弁当を手に後を追うが
既に走り去った後だった。
「ふぉっふぉっふぉ、若いとはいいな」
「わっ!?ルガール神父!」
いつのまに背後に立っていたルガール神父にシルフィは驚く。
「どれ私が持っていこう」
その言葉に対してシルフィは首を横にふりながら言う。
「ありがとうございます。でもこれは後で私が持っていきます。
お兄ちゃんにも言いたいことがあるので」
「そうか、なら……むっ?」
いつも穏やかな表情のルガール神父の目が険しくなる。
「?どうしたのルガール神父」
セルフィの問いにルガール神父は静かに呟いた。
「今日は嫌な予感がするな...」
 



 どうも皆さん。おはこんばんにちは。
ヴィスです。
 今回の話は今作の主人公アレン=クァルタのお話です。
はい、今回もロボット要素皆無です。
楽しみにしていた方申し訳ありません。
 さて、話の補足をアレンが最後のほうで学校と言ってますが
これはアークス訓練学校ではなく普通の勉学を学ぶほうの学校です。
アークス訓練学校に入学するには
まずフォトンを扱える才能がなければいけません(もちろん例外もあり)
アランはフォトンを扱える才能が全く無いので普通の学校に通っています。
まあ、パラレルだからなんでもありですよね(ナゲヤリ
 ゲームの方は今は確か対抗戦かな~
個人的にはこの対抗戦はあまり好きではありません。
もう少し新しいイベント要素が入れば話は別ですが...
 次回、このシリーズを書くときはロボットを出したいな~
では今回はこの辺で  ほんじゃ、またな!

 『アークス』、それは惑星間を自由に旅する巨大な船団
『オラクル』内でヒューマン、ニューマン、キャスト、デューマン、ビースト
の5つの種族から編成された調査部隊。
彼等の役目は二つある。
一つは行く先々で見つかった未知の惑星へ降下し調査を行うこと。
二つ目は全宇宙にとっての最悪の存在『ダーカー』を駆逐することだ。
奴等もまた行く先々の惑星に亜空間を越えて出没し、
その惑星の原生生物に侵食、または捕食し仲間を増やしていく。
そしてダーカーを操り使役するアークスにとって
不倶戴天(ふぐたいてん)の存在『ダークファルス』
惑星をも一撃で破壊する程の強大な力をもつ『巨躯』(エルダー)
虫系ダーカーを操り拠点制圧を得意とする『若人』(アプロンティス)
あらゆる模倣体を産み出せる謎多き『双子』(ダブル)
そして存在だけが語られている『敗者』(ルーサー)
その内の一体『巨躯』はアークスの3分の1を犠牲にして
その力の大半を封印することに成功した。
しかし、その犠牲はあまりにも大きすぎた―
フォトンを扱える熟練者の大半を失ったアークスは
それから40年の間その機能を大きく低下させることになった....

― 惑星リリーパ 第一採掘基地 ―
 日が落ちかけた薄暗い第一採掘基地に無数の銃声と叫び声が響き渡った。
『隊長!これ以上は戦線が持ちません!』
「堪えるんだ!もう少しで援軍が来る!」
無線越しに部下の悲鳴にも似た叫びを聞きながら
隊長のナルガもナノブラストを発動し、ヴィタソードを手に
前線で虫型小型ダーカー『ダガン』の進撃を阻止していた。

 ナノブラストとはビーストのみが使える特殊能力で
一定時間の間獣人に変身することができ、
その身体能力を大幅に上昇させることができるのだ。

しかし、その数は彼らだけではとても捌ききれる量ではなかった。
「8人編成の小隊2つでこれだけの物量のダーカーから採掘基地を守れだと?
ふざけるな!出来るわけがないっ!」
部下の一人が恐怖のあまりにその場を逃げ出すが―
「!馬鹿っそっちに行くな!戻れっ!」
「えっ?」
ナルガの静止を聞かなかった部下の一人は
真下から突如現れた虫型中型ダーカー『グワナーダ』の
巨大な大顎にガッシリと挟まれる。
「た、助けてくれぇぇぇっ!!」
「待ってろ今―」
ナルガが助けに向かおうとする―しかし現実は無情だった。
ブツンという鈍い音と共に
部下が目の前で真っ二つに挟み切られ血飛沫が吹き上がる。
だが、悲しみにくれてるときではなかった。
「隊長!後ろです!」
部下の声にナルガははっと我にかえる。
いつの間にか接近していた虫型中型ダーカー『ゴルドラーダ』が
回し蹴りを仕掛ける。
「くっ!」
ナルガは咄嗟にヴィタソードを後ろに盾のように構える。
強烈な衝撃が背後から襲いかかる。
と、同時に時間切れでナノブラストによる獣人化の
変身が解かれ身体能力が一気に低下する。
「しまった!?ぐあぁぁぁ!」
ヴィタソードに大きな亀裂が入り、
衝撃を受け止めきれなかった彼はそのまま吹き飛ぶ。
「くっ...そう...」
ナルガはヒビの入ったヴィタソードを杖のようにして立ち上がる。
そこに追い付いてきたゴルドラーダが亜空間から取り出した
禍々しい大剣を振りかざす。
「これまでか...」
ナルガが諦めかけたそのとき―守護神は現れた。
突然の突風にナルガは思わず伏せる。
次に顔をあげた彼の前には信じられない光景が映っていた。
「なんだ...これは..!?」
それは赤と黒の二体の『鉄の巨人』がダーカーの大群を殲滅している光景だった。
ナルガに止めを刺そうとしたゴルドラーダは三体目の白の鉄の巨人が
巨大な大剣で両断していた。
戦況は覆ろうとしていた。
『た、隊長!御無事ですか?』
部下の通信が入る。
「あ、ああこれはどういう状況だ?」
『リリーパ防衛特殊AIS部隊のLDF(リデフ)からの援軍ですよ!』
「AIS特殊部隊...あの噂の...」
そうこう話している間に三機の『AIS』による
反撃が続けられた。

 「全く、ギリギリだったぞ」
採掘基地防衛小隊の一人をゴルドラーダから救った白いAISの
パイロット、『レオナルド=ベルトラン』は胸を撫で下ろした。
『おいおい、こりゃ大群だな...補給無しじゃちときついぞ』
『あら、尻尾巻いて逃げるつもり?』
『冗談だろ、逆に燃えるってもんだぜ』
黒いAISパイロットの『ジェフ=スターディ』と
赤いAISパイロットの『ケイト=モルガン』がちゃかしあう。
「お前たち、ふざけるのはいいがまずは仕事が先だ」
『へっわかってますよリーダー』
『じゃ、今晩はリーダーの奢りでね』
『お、そいつはいい今夜は旨い酒が飲めそうだ』
「お前たち....まあいい、チームドラグーンこれよりダーカーを殲滅する!」
『『了解!』』
 他の採掘基地のダーカーを殲滅したあと
一番守りの薄い第一採掘基地にも襲撃を受けていると
連絡を受けたあと彼と補給もせずにかけつけたのだ。
 AISの最大の武器はアークスを越える機動力と火力である。
三機は連携のとれた動きで確実にダーカーを仕留めていく。
『こちらD2弾薬0だ近接戦に持ち込む』
ジェフ機は弾切れとなったソリッドバルカンを
肩のマウントに戻し代わりに特殊合金の刃にフォトンコーティングを
施したAIS専用武器フォトンセイバーを取り出す。
『いくぜぇぇぇ!』
流れるような動きでジェフ機は瞬く間にゴルドラーダを
三体撃破する。
と、そこにゴルドラーダの一体がジェフ機の左足に組み付く。
組み付いた瞬間ゴルドラーダから紅い閃光がほとばしる。
『こいつ、自爆する気か!?』
『もう、油断しないでよ!』
爆弾の詰まった頭部を間一髪ケイト機が切り飛ばす。
切り飛ばされた頭部はジェフ機の真横で爆発する。
『もうちょっと優しくはしてくれないのか?』
ジェフがふざけながら言う。
それに対してのケイトの言葉は冷たかった。
『組み付かれるあんたが悪いんでしょ、
あんたごと切ってあげてもよかったのよ』
『おお、こわ』
レオナルドは半分呆れ返っていた。
「全く緊張感がないぞお前た―!?」 
レオナルドのコックピットで、警報が鳴り響く。
「この反応は...D3下だっ!跳べ!」
ケイト機が反射的に跳び上がった瞬間―
グワナーダが大顎を開きケイト機に襲いかかったが
脚を掠めただけで再び地中に姿を消す。
レオナルドが教えていなければケイト機は
今頃地中に引きずり込まれていただろう。
『ふう、リーダーサンキュー』
「残りはグワナーダ級だけだ、
Dフォーメーションでかたをつけるぞ」
『お、久々にやるな』
『しくじらないでよD2』
「来るぞ、各自準備しろ」
レオナルド機のセンサーに再び反応が出る。
「そこか!」
センサーに反応があった方向に銃口を向ける。
予測通り地中から勢いよく飛び出すがそれは束になった触手だった。
「しまった!こいつは囮(デコイ)か!」
再び警報が悲鳴のように鳴る。
「今度の反応は...俺の真下か!ちぃっ!」
レオナルドは機体を僅かに右にずらす。
今度こそグワナーダの本体が地中から飛び出す。
その大顎はレオナルド機の左腕をしっかりと挟み込んでいた。
左腕から火花が散る。
『レオナルド!』
『リーダー!』
「大丈夫だ二人とも。それに今度こそ掴まえた」
そう、レオナルドは確実にグワナーダを倒すためにわざと左腕に
挟み込ませたのだ。
レオナルド機は右手の武器を投げ捨てると腰に
装備していた大出力兵器フォトンブラスターキャノンを掴み
なおも左腕に食い付いているグワナーダに向ける。
「肉を斬らせて骨を断つってやつだ。消えろ化け物が」
レオナルドはスティックのトリガーを引く。
零距離から放たれたフォトンブラスターキャノンは
その眩いほどのフォトンの輝きでグワナーダの首から下を焼いていく。
グワナーダは断末魔の悲鳴をあげながら絶命する。
フォトンブラスターキャノンの砲身が融解する頃には、
グワナーダの下半身があったと思われる地面には巨大な穴が空いていた。
後に残ったのはレオナルド機の機能が停止した左腕に
死してなお食らい付いているグワナーダ頭部だけだった。
レオナルドはフォトンブラスターキャノンの銃身を腰に戻し
左腕に食い付いているグワナーダの頭部を引き剥がし投げ捨てた。
グワナーダの頭部はコアを失ったため形状を維持できなくなり霧散する。
残りのダーカーも勝てないとわかったのか撤退し始めていた。
『D2からD1追撃するか?』
「いや、深追いはしない方がいいだろう。
さすがに補給抜きでこれ以上戦うわけにもいかないからな」
『LDF本部に帰ったらシャワーを浴びたいわ』
「フッそうするか。チームドラグーン帰投する」

 LDFのAIS部隊がダーカーを撃退し、帰投したという報告を
ナルガは怪我の治療中に受けた。
「そうか、退けてくれたか」
「はい、基地の損害も軽微にすみました。
さすが最新鋭の武装を保持するだけはありますね」
「それだけじゃないと思うがな」
「え?」
「なんでもない、持ち場に戻ってくれ」
ナルガは報告に来た部下をそういって引き下がらせた。
「LDF...鋼鉄の守護神達(アイアン・ガーディアンズ)か」
そう呟くナルガはリリーパの夜空を見上げる。
採掘基地の夜は今日も酷く冷え込んだ。




 どうもみなさんおはこんばんにちは。
ヴィスでーす。
前回あとがきで言っていたAIS主軸パラレルストーリー
『鋼鉄の守護神「AIS」』の始まりです。
パラレルということでPSO2では存在しない種族
ビーストを参戦させてみました。
結構好きだった人は多いんではないでしょうか?
今回のはなしはあんまりロボロボしくありませんね。
作者の腕がまだまだ未熟ってことですかね。
あと所々描写不足なところとかあったり...本当に申し訳ない。
こちらのはなしは『第104独立遊撃隊』よりかは
頻度を低めにあげますご理解のほどよろしくお願いします。
では今回はこの辺で
ほんじゃ、まったなー

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